老後2000万円問題とは、日本の年金制度の将来性に不安を感じる人々が、老後の生活費を確保するために必要な貯蓄額として、2000万円という数字を目安にすることです。
この問題は、2019年に金融庁が発表した「 年金の将来に関する検討会報告書 」で注目されるようになりました。 この問題に対して、IT・通信業界のエンジニアはどのような立場にあるのでしょうか?エンジニアの平均年収や生涯年収、預貯金の平均などを見てみましょう。
IT・通信業界のエンジニアの平均年収
IT・通信業界のエンジニアの平均年収は、求人サービス会社dodaのデータによると、2022年12月時点で442万円です。
これは全職種の平均年収403万円よりも39万円高いです。また、年齢が上がるにつれて平均年収も上がっており、20代では367万円、30代では495万円、40代では621万円、50代以上では694万円となっています。
IT・通信業界のエンジニアは、職種や仕事内容によっても年収が大きく変わります。
dodaのデータでは、プロジェクトマネジャーやITコンサルタントなどの上流工程やマネジメントを担う職種が高い年収水準を示しています。一方で、プログラマーやテスターなどの下流工程や運用・保守を担う職種は低い年収水準となっています。
IT・通信業界のエンジニアの生涯年収
IT・通信業界のエンジニアの生涯年収は、dodaのデータをもとに計算すると約2億5,200万円となります¹。これは全職種の生涯年収2億1,568万円よりも約3600万円高いです。
ただし、IT・通信業界のエンジニアは技術革新や市場動向によって需要が変化するため、生涯で同じ職種や仕事内容に就くことは難しいかもしれません。
そのため、スキルアップやキャリアチェンジを積極的に行うことが重要です。
IT・通信業界のエンジニアの預貯金
IT・通信業界のエンジニアの預貯金に関する統計データは見つかりませんでしたが、総務省統計局が発表した「家計調査報告」によると、2022年10月時点で全世帯(単身世帯を除く)の預貯金残高(現金及び預金)は約1913万円です。単身世帯では約512万円です。
このデータから推測すると、IT・通信業界のエンジニアは平均的な預貯金残高よりも多く貯蓄している可能性があります。しかし、預貯金残高は世帯構成や家計状況など個人差が大きいため、一概に言えません。
一般的なサラリーマンの生涯年収
一般的なサラリーマン(正規雇用)の生涯年収は約2.5億円と言われています。これは大卒男性でフルタイム正社員を続けた場合の60歳までの生涯賃金(退職金を含めない)です。女性や非正規雇用者ではさらに低くなります。
一般的なサラリーマンはIT・通信業界のエンジニアよりも約2000万円少ない生涯年収ということになります。しかし、これらはあくまで平均値であり、個人差や企業差があります。
政府調査機関から見た生涯年収
政府調査機関から見た生涯年収はどうなっているでしょうか?ここでは経済産業省や総務省統計局、金融庁などから公表されているデータを紹介します。

経済産業省
経済産業省が発表した「 平成30年度版 産業別賃金構造基本統計調査 」では、産業別や職種別に月給や賞与(ボーナス)などを調査しています。
このデータをもとに生涯年収を推計することができます。 IT・通信業界(情報通信業)では月給が約42万円、賞与が約95万円です。これらを合計して年間所得を算出すると約602万円となります。
これを43歳から65歳まで働いた場合(22歳から42歳まで働いた分は無視)、生涯年収は約2億5,884万円となります。
一般的なサラリーマン(全産業)では月給が約34万円、賞与が約69万円です。これらを合計して年間所得を算出すると約476万円となります。
これを43歳から65歳まで働いた場合(22歳から42歳まで働いた分は無視)、生涯年収は約2億47,000万円となります。
総務省統計局
総務省統計局が発表した「 平成30年分民間給与実態統計調査 」では、雇用形態別や学歴別に月給や賞与(ボーナス)などを調査しています。
このデータをもとに生涯年収を推計することができます。 IT・通信業界(情報通信業)では月給が約41万円、賞与が約92万円です。
これらを合計して年間所得を算出すると約587万円となります。これを43歳から65歳まで働いた場合(22歳から42歳まで働いた分は無視)、生涯年収は約2億5,409万円となります。
一般的なサラリーマン(全産業)では月給が約33万円、賞与が約66万円です。これらを合計して年間所得を算出すると約462万円となります。これを43歳から65歳まで働いた場合(22歳から42歳まで働いた分は無視)、生涯年収は約2億19,916万円となります。
金融庁
金融庁が発表した「 年金の将来に関する検討会報告書 」では、年金制度の問題点や改善策について議論しています。この報告書では、老後2000万円問題が提起されたことで話題になりました。
報告書では、平均的なサラリーマン夫婦(夫は大卒正社員、妻は高卒パートタイマー)の生涯年収を約3億3,000万円と推計しています。
これは夫の生涯年収が約2億6,000万円、妻の生涯年収が約7000万円という仮定に基づいています。
コラムまとめ
老後2000万円問題は、日本の年金制度への不安から生じた問題です。
IT・通信業界のエンジニアは平均的に高い年収水準を維持していますが、技術革新や市場動向に応じてスキルやキャリアを更新する必要があります。
また、預貯金残高は個人差が大きいため、自分の将来設計に合わせて適切な貯蓄計画を立てることが大切です。
一般的なサラリーマンはIT・通信業界のエンジニアよりも約2000万円少ない生涯年収ということになりますが、これらはあくまで平均値であり、個人差や企業差があります。
政府調査機関から見た生涯年収も参考にしながら、自分のライフプランを考えてみましょう。
参考:生涯年収の平均額。性別、学歴別の差や、手取りにした場合の実質額はいくらに?|みんなでつくる!暮らしのマネーメディア みんなのマネ活 (rakuten-card.co.jp)

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